京都大学大学院農学研究科 食品生物科学専攻食品生理機能学分野 大日向研究室 京都大学
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研究内容
2009/05/27 updated
 食品には栄養素としての機能の他に、情報伝達物質として生体調節機能のあることが知られています。本分野では、加齢や運動に伴う栄養要求性と生体機能応答の変化を解明すると共に、食品成分が脳神経系、消化器系、循環器系などに対して及ぼす作用を個体、臓器、細胞、分子及び遺伝子レベルで追求し、生活習慣病の予防及び健康の維持・増進にとって真に望ましい食品とは何かを究明することを目指しています。
 これまで、アミノ酸代謝酵素が加齢に伴うタンパク質必要量の変化に応答して発現することや、タンパク質の酵素分解によって生成するペプチドの中には、精神的ストレス緩和、食欲調節、血圧降下などの生理作用を示すものがあることを明らかにしてきました。現在は、特に神経系に作用する食品成分に着目し、「食」と「こころ」の分子基盤を解明することによって生活習慣病予防やQuality of Life (QOL)の向上を目指しています


         
生理活性ペプチドの多彩な生理作用


1.加齢に伴うタンパク質・アミノ酸必要量の変化と代謝応答:セリンやアスパラギンなどの可欠(非必須)アミノ酸を合成・分解する酵素の発現が、その必要量と食事からの供給量に応答して発現変動することを、週齢の異なるラットを用いて明らかにしました。このことは、組織への可欠アミノ酸の供給が厳密に制御されていることを示しています。しかし、このような制御機構は今まで知られておらず、その分子機構の解明に取り組んでいます。

2.精神的ストレス緩和素材の探索と応用:過度の精神的ストレスは、精神疾患の症状を増悪させるだけでなく、生活習慣病の発症リスクを高めることから、ストレスを緩和する機能性素材の開発が期待されています。これまで我々は食品タンパク質の酵素分解により派生する低分子ペプチドのなかに経口投与で精神的ストレス緩和作用(抗不安作用)を示す場合があることをマウスを用いた行動実験で明らかにしました。なかには医薬品に匹敵する低用量で作用するものも存在します。現在、さらに新しい抗不安素材を探索するとともに、その作用機構を解析中です。糖尿病モデル動物を用いて生活習慣病発症に及ぼす影響も評価しています。

図1.マウスを用いた精神的ストレスレベルの評価。マウスは高いところが苦手なので、通常、壁のないオープンアームにはあまり滞在しないが抗不安薬やストレス緩和物質を投与するとオープンアームの滞在時間が長くなる。


3.ライフステージに対応した機能性素材の探索:抗肥満の観点から食欲抑制素材の開発が期待されています。一方、高齢者では食欲減退が老化を促進することから食欲促進物質も期待されています。これまで低分子ペプチドが食欲抑制作用、あるいは逆に促進作用を示す場合があることを明らかにしています。これらの作用機構を検討する過程で脳内のプロスタグランジン類が摂食調節に重要な役割を果すことをノックアウトマウス等を用いて解明しました。さらに高齢者では睡眠不足、成長ホルモン分泌低下、高血圧、学習機能低下などが問題となっています。これらの機能低下の改善に寄与する素材を探索し、その作用機構を解析しています。


図2.プロスタグランジンD2合成酵素の脳内分布(視床下部)


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